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東京電力柏崎刈羽原発。左から5、6、7号機=2023年6月18日午後2時12分、新潟県柏崎市、刈羽村、朝日新聞社機から、岩下毅撮影

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働をめぐる県の判断が、来年度にずれ込む公算が大きくなっている。国や東電は水面下で電力需要が高まる冬場の稼働を模索しているが、それまでに県が重視する「議論の材料」がそろわないため。また、来年度に再稼働したとしても、すぐに停止に追い込まれる可能性も浮上している。

 同原発は東日本大震災後の2012年3月以降、全7基が止まっている。東電は6、7号機の再稼働をめざし、4月26日には7号機の原子炉に核燃料を入れ終えた。国や東電は内々に、6月の県議会で同意を得て、夏に再稼働するスケジュールを描いていたが、断念した。

 県との調整は国が前面に立って進めてきた。9月の原子力関係閣僚会議では、県が求める避難道路や屋内退避施設の整備について、予算を確保して具体策を講じる方針を決めた。

 経済産業省幹部は「(地元の信頼を得るのが特に難しいため)事故を起こした東電の再稼働は特別」といい、支援を惜しまない考えを示す。広報活動も強化し、12月の県議会で同意を得ることも念頭におく。

 だが、そううまくはいかなそうだ。そもそも再稼働の前提となる「緊急時対応」の策定が進んでいない。立地自治体からの要望を受けて、原子力規制委員会が屋内退避の運用を見直す議論を進めている。それが今年度いっぱいかかる見通しで、花角英世知事は議論がまとまるのを待つとする。

 避難道路などの整備についても、花角知事は9月の議会で「必要に応じ、改めて(国に)要望を行うことも検討していく」と表明した。花角知事は判断の前に、説明会や公聴会などで県民の意思を聞くとし、判断した後にも県民の意思を確認するという。いずれの方法も明確に示しておらず、今年度中の再稼働は極めて困難な情勢だ。(三浦惇平、井上充昌)

地元同意のほかにも「難題」

 柏崎刈羽原発7号機をめぐっ…

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